三鷹まちづくり通信2020年2号（2020年12月1日発行）

　路上にテラス席を設け、屋外で開放感を感じながら、密を避けての飲食が楽しめる「三鷹テラストリート」。コロナ禍の影響を受けた飲食店応援と、地域で過ごす人が増えたことで新たな生活様式の提案を兼ねた実験的な取り組みとして2020年9月から市内数店舗にて実施されています。今回は商店会と三鷹市のこの取組みに関わった3名にお話を伺いました。

日常を豊かにという思いとスピード感ある立ち上げ

■インタビュー　三鷹市生活経済課　若島慎兵さん

　「三鷹テラストリート（テラス×ストリート）」は発案から相談窓口設置まで2週間という異例の早さで事業が滑り出しました。「スピードは意識しました」と話すのは、三鷹市生活経済課の若島慎兵さん。

　きっかけはコロナ禍による自粛などで「三鷹で何かできないか」と思っていたところ、国土交通省が道路占用の許可基準を緩和したことを受け、絶好の活用機会だと思い決めたそうです。

　「飲食店応援や密を避ける狙いもあります。そして公共空間の活用として商店街の歩道にテラス席を設けることでコロナ禍でも新たなライフスタイルを提案し、居心地の良さや日常に豊かさを取り戻したい」と想いを語ってくれました。

晴れた日はフレッシュネスバーガー三鷹南口店の開放感あるテラス席がよく利用されていました

地域貢献のお届がいち早く参加し景観づくりに一役

■インタビュー　フレッシュネスバーガー　三鷹南口店（株式会社Happy Smile）櫻井雅彦さん

　聞店20周年を迎えるフレッシュネスパーガ一三鷹南口店もコロナ禍で闘っているお店のひとつです。いち早く「三鷹テラストリート」に賛同し、店前の歩道上でのテラス席営業を開始しました。

　代表の櫻井雅彦さんは「当店は全国的に知られるブランドですが、聞店以来ずっと地域密着型のローカルな店です。地元のみなさんのためにできるととは何でもやるという姿勢で本部と話し合い、歩道でのテラス席営業実施を新たに決めました」と話されました。

　お店のイメージやファーストフードの気軽さからも、芝のマットを敷いたテラス席がとてもマッチしています。取り組み事例として外観が頻繁に紹介されたこともあり、晴れた日は街の新たな景観づくりに一役買っています。

　利用者からの反応は好評で、特にベットや赤ちゃん同伴の場合、外のテラス席が利用できることがとても喜ばれています。ただ、新調したイスとテーブルは気温や日差しの関係で熱くなってしまうことがあり、工夫すべき点はまだまだあると棲井さんは話します。

　何より地域貢献志向の意識が高い店だということが取材を遇して知りました。

フレッシュネスパーガ一三鷹南口店代表の櫻井さん
取り組みに時代の変化や行政の柔軟さを感じるそうです

街のインフラとして商店会にできることは何か？

　三鷹市とともに「三鷹テラストリー卜」推進の一翼を担った三鷹中央通り商店会。副理事長の広瀬充弘さんは、多くの人が遠方に出かけられなくなったことであらためて地元商店街の重要性に気付き、どうあるべきか見つめ直したりする機会があったと話されました。

　「強く思うのは、商店街は"街のインフラ（社会基盤）"としての側面を持っているということ。みなさんから洗練された商店街やまちであって欲しいという声も多く聞とえてきます。居心地良く、快適に楽しく過ごせる場づくり、つまりプレイスメイキングをしていくことが重要だと感じています」と語る広瀬さん。

　そんな時に三鷹市から打診があり、テラストリートの取り組みに即座に共感し、協調して進めていくことにしたそうです。

　今後、こうした街の見え方を変えていくような実験的な取り組みをもっと多くの若い人たちにも広げ、積極的に商店街やまちづくりにかかわり、議論し合って進めてもらうようにもできればと話されました。

　「三鷹テラストリー卜」はまちの彩りを豊かにしようとするひとつの実験的な試みですが、今後取り組みがつながって、どうまちの景色を変えていくのかぜひ推移を見守っていきたいですね。

まちや商店街のあり方や未来について熱心かつ穏やかに語ってくださった商店会の広瀬さん