公開日 2024年02月02日
三鷹まちづくりフォトコンテストは、写真を通じて、より多くの市民に身近にある三鷹の魅力を再発見し、地域に対する興味・愛着を深めてもらうことや、より良い景観づくりに関する機運を醸成することを目的に開催しているコンテストです。
2023年1月1日~2023年12月31日までの1年間に撮影した三鷹市内のまちの景観や情景、自然、人々のふれあい、まちかどの一コマなど三鷹の魅力を発信する写真など広く募集したところ、市内外264人から603点の作品の応募がありました。
厳正なる審査の結果、以下のとおり入賞者が決定いたしました。
◆入賞作品
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- 作品タイトル
- くりまんじゅう
- 撮影場所
- 井の頭恩賜公園
- 撮影日
- 2023/04/08
- 撮影者
- 山崎 達也さん
- 撮影者コメント
- カイツブリが足元にまで近づいてくれました。真上から撮影したカイツブリは、まるでくりまんじゅうのようにまんまるで可愛かったです。
- 講評
- 写真はその場に居合わせないと写すことがかなわない巡り合わせのようなもの、日常にひそむ意外な発見をリアルな描写力と観察眼によって捉えたインパクトのある作品です。(林義勝先生)
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- 作品タイトル
- 斜陽とともに照らす
- 撮影場所
- 三鷹跨線人道橋
- 撮影日
- 2023/12/12
- 撮影者
- 金子 武司さん
- 撮影者コメント
- 三鷹市の象徴だから、それを支えるために華やかに。 夕暮れになれば、斜陽と一緒に彼を照らし、武骨な筐体をより美しく見せる。
- 講評
- 「斜陽とともに照らす」というタイトルにされたのは太宰治の斜陽館の名を重ねたのではないでしょうか。橋梁の灯りが跨線橋のいきづかいを伝えているかのようです。(林義勝先生)
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- 作品タイトル
- 松ぼっくりの居場所
- 撮影場所
- 井の頭恩賜公園 グラウンド付近
- 撮影日
- 2023/12/27
- 撮影者
- 柴田 敦士さん
- 撮影者コメント
- 緑が多い井の頭公園に一本の枯れ木を発見! 枯れ木の中を覗いてみると松ぼっくりがひっそり隠れながら大きな木を覗き込んでいるように見えました。これは人が置いたのか?それとも自然に? 想像しながら撮影していると、松ぼっくりのこの先どのような物語があるのかなと感じる1枚になりました。
- 講評
- 枯れた木穴と松ぼっくり。舞台装置が整っています。この松ぼっくりを主役にどんなストーリーが展開していくのだろうかと期待感を持たせるような想像力をかきたてる作品です。(林義勝先生)
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- 作品タイトル
- 君たちはどう生きるか
- 撮影場所
- 仙川(新川近辺)
- 撮影日
- 2023/10/18
- 撮影者
- 大谷 正志さん
- 撮影者コメント
- 仙川沿いにある民家の屋根にアオサギが停まっていました。太陽の光を浴びて逆光の中、宮﨑駿の映画『君たちはどう生きるか』のシーンと重なって神秘的に見えました。
- 講評
- 今、話題の宮﨑駿の映画「君たちはどう生きるか」のシーンと重なったとのことですが、逆光による光学的レンズフレアーを効果的に活かしたアニメ的映像表現が印象的な作品です。(林義勝先生)
- 作品タイトル
- さよなら跨線橋
- 撮影場所
- 三鷹跨線人道橋
- 撮影日
- 2023/11/30
- 撮影者
- 久幸 伸雄さん
- 撮影者コメント
- 思い出の跨線橋でお友達とともに
- 講評
- 跨線橋からの情景を、街の明かりが灯り始めた良い時間帯に撮られました。アンバー系の色調がノスタルジームードを醸し、狙いであるタイトルを活かす相乗効果にもなっています。(林義勝先生)
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- 作品タイトル
- リズムに合わせて
- 撮影場所
- 三鷹駅南口中央通り
- 撮影日
- 2023/08/19
- 撮影者
- 佐久間 俊輔さん
- 撮影者コメント
- 三鷹阿波おどりでの一コマ。太鼓をたたいて参加する男の子の様子がかわいらしく、カメラを向けました。
- 講評
- 三鷹の夏の風物詩である「三鷹阿波踊り」が4年ぶりに開催され、市民の皆さんは勿論、市外からも三鷹の阿波踊りを楽しみに、多くの方が訪れていただきました。この作品は久しぶりの阿波踊りを、子供も大人もみんなで披露する喜びや、又観客の皆さんからも一緒に阿波踊りを楽しんで、喜んでいる様子が伝わってきます。(特定非営利活動法人みたか都市観光協会)
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- 作品タイトル
- あの頃への抜け道
- 撮影場所
- 大沢の里
- 撮影日
- 2023/06/16
- 撮影者
- 植田 有香さん
- 撮影者コメント
- 田舎から上京し、三鷹に住み10年。 ふと散歩した夜の野川沿いに、子供の頃に見た田舎の風景が広がりました。 この2灯の提灯を抜けるとあの頃にタイムスリップする。 そんな想いがして写真に収めました。
- 講評
- 提灯に照らされる緑と、星の光るグラデーションのきれいな夜空からノスタルジックな雰囲気を感じます。大沢の里はかつて農村であった三鷹の原風景であり、四季の魅力にあふれています。大沢の里の、昔ながらの風景を後世に残そうとされている方々の取り組みがあってこその一枚です。(株式会社まちづくり三鷹)
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- 作品タイトル
- 幾何学の有る街
- 撮影場所
- 三鷹駅前
- 撮影日
- 2023/08/13
- 撮影者
- 中村 博一さん
- 撮影者コメント
- 三鷹駅南口周辺には良く見ると道路・建築などの随所には直斜曲などが多く含まれた街です。 まさに幾何学を取り込んだ街にみえます駅前で見つけたその一部を写してみました。
- 講評
- 普段の日常の光景の中でも見方を変えてみると新たな発見をされることがあると思います。駅前の立体交差を幾何学的に見える視点で撮られた正にこの賞にふさわしい写真です。(林義勝先生)
- 作品タイトル
- 私の中の風景
- 撮影場所
- アトレヴィ三鷹
- 撮影日
- 2023/11/12
- 撮影者
- 野中 絵理さん
- 撮影者コメント
- 気が付いたら、私の中に三鷹があった。三鷹で働きはじめた私は、もう、三鷹にずいぶんと溶け込んでいたようだ。
- 講評
- 室内からウィンドウ越しに自らのシルエットを効果的に活かし、室外の夜景とコラボして撮られた撮影者のインスピレーションと発想による自分参加型の表現も良かったです。(林義勝先生)
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- 作品タイトル
- カルガモ・幸せな瞬間
- 撮影場所
- 勝渕前の仙川・上流
- 撮影日
- 2023/07/25
- 撮影者
- 千葉 たか子さん
- 撮影者コメント
- 橋げたの赤が水面に映り込み波紋が綺麗!
- 講評
- 水面に写り込んだ朱色と緑色の波紋がカルガモを中心に広がっている情景がリズム感を醸し出し、奏楽を連想させる相乗効果となっている余韻の残る印象強い作品です。(林義勝先生)
- 作品タイトル
- 水面に巡る秋景色
- 撮影場所
- 仙川平和公園
- 撮影日
- 2023/11/23
- 撮影者
- 重田 和豊さん
- 撮影者コメント
- 秋の光に輝き、黄色に変わっていく銀杏や、秋の風に吹かれ舞い降りた落葉が 水面のキャンパスに描いた、秋が巡る景色がとてもきれいでカメラを向けました。
- 講評
- 鏡のような水面に写り込んだ木々とそこに浮かぶ落葉が織りなす優雅な自然風景を、撮影者の感性とリアルな写真による描写力によって静寂な秋の世界観を良く捉えています。(林義勝先生)
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- 作品タイトル
- すっとんきょう
- 撮影場所
- 井の頭恩賜公園 七井橋
- 撮影日
- 2023/06/28
- 撮影者
- 太田 麗奈さん
- 撮影者コメント
- 井の頭公園を友達と散歩していて、池に「う」がいるのを見つけました。とてもすっとんきょうな顔をしていたので、おもしろいなと思って撮影しました。
- 講評
- 鵜のすっとんきょうなポーズがこの写真の魅力と言えるでしょう。被写体とコミュニケーションをとりながら、ここぞと感じた決定的一瞬を撮られたウィット感のある写真です。(林義勝先生)
- 作品タイトル
- 提灯行列
- 撮影場所
- 三鷹八幡大神社
- 撮影日
- 2023/09/10
- 撮影者
- 永井 碧人さん
- 撮影者コメント
- 人々で溢れる参道を提灯が列を成して進む様子を撮りました。夜の境内に灯りが灯る姿はいつまでも忘れられません。
- 講評
- 提灯を主題にしたフレーミングの切り取り方も良かったです。行列の掛け声が聞こえてくるような臨場感も伝わってきます。欲を言えば背景の鳥居がもう少し見えると良かったでしょう。(林義勝先生)
- 作品タイトル
- 校庭の葉っぱの隙間から
- 撮影場所
- 三鷹市立第四小学校 校庭
- 撮影日
- 2023/06/26
- 撮影者
- 米津 友晴さん
- 撮影者コメント
- 三鷹市立第四小学校の校庭の木の葉っぱの形が特徴的だったので撮りました
- 講評
- 葉っぱの形の面白さに目が留まった撮影者のインスピレーションでマクロ的に狙った視点も良いですね、画面中央の赤色のワンポイントが効果的なアクセントになっています。(林義勝先生)
- 作品タイトル
- 夕焼け、陸橋より
- 撮影場所
- 三鷹跨線人道橋
- 撮影日
- 2023/08/12
- 撮影者
- 冨岡 文史郎さん
- 撮影者コメント
- 三鷹駅のデッキに出て、ふと空を見上げると、幻想的な空。次の瞬間、私は駆け出していました。この景色を、あの陸橋から見たい。その一心で走っていました。 三鷹跨線人道橋は、いづれ撤去されることがほぼ決定されているそうです。そうなる前に、またたとえ撤去されてしまっても、太宰も愛したというこの眺めが、このコンテストを通じて様々な人に届けばいいと思っています。
- 講評
- 写真の魅力は感動を感受し共有できることにもあります。陸橋から眺むドラマチックな夕焼けを逃すまいと夢中でシャッターを切っている撮影者の様子が写真から伝わってきます。(林義勝先生)
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◆総評
原 きよ審査委員(三鷹市在住、朗読家、ナレーター、舞台役者)
バラエティ溢れる作品の数々を、苦しみながらも楽しく審査させていただきました。応募作品を拝見して、三鷹には都会的な部分と癒しとなる故郷の原風景的な部分とがバランスよく存在していることを再認識いたしました。私は、変わらぬ日常の中でふと発見した風景や、そこに暮らす人ならではの視点をポイントに審査いたしましたが、タイトルやコメントにも心惹かれるものが数多くありました。そうした写真には物語があり、被写体から声が聞こえてきそうで、その風景の中にいるような感覚に浸ることが出来ました。ありがとうございました。
【プロフィール】
元OBS大分放送アナウンサーで太宰治作品朗読を得意とし三鷹市を拠点にライブ活動を行う。音楽家との共演によるホールコンサートにも多数出演。様々なアーティストとコラボする自主企画「響き合いプロジェクト」も好評を得ている。
三鷹ネットワーク大学など講師。 (株)マックミック所属、朗読集団「コトザウルス」、劇団「シアターRAKU」所属、文化庁芸術家派遣事業登録アーティスト。成蹊大学メディアリテラシー演習非常勤講師。
林 義勝審査委員(日本写真家協会会員、林忠彦作品研究室代表)
第28回三鷹まちづくりフォトコンテストは前年度に比べて大幅に応募者数が増え、このフォトコンテストへの注目度がうかがえました。内容的には自然風景、スナップ、祭り、自由作品等、バリエーションに富み、どれも郷土愛にあふれた眼差しで撮られたものが多く見られました。
上位入賞作品は写真表現ならではの記録性と描写力プラス撮影者個々の自由な発想と表現力による作品群でした。その中で、10代の応募者からの作品が多く含まれているのも印象的でした。次回は、写真を介して次世代へ伝えたいメッセージを込めた作品づくりにもチャレンジされてみて下さい。写真は世界共通の視覚による言語と言えるでしょう。今後も、知的好奇心を持ちつづけて心揺さぶられる発見と、感動による作品づくりをされることを期待しております。
【プロフィール】
1950年、写真家 林忠彦の四男として東京に生まれる。エディトリアルの分野で活躍する一方、テーマ写真を得意とし、歴史的背景を織り込んだ日本の原風景や「能」などの伝統芸能などの撮影に取り組む。ニューヨークをはじめ国内外での写真展多数開催。主な写真集、「十二支伝説」「龍伝説」「観世宗家能面」「新シルクロード」「東海道の旅」他。新著は、林忠彦・義勝親子の魅力に迫る写真集/伝記「オヤジの背中 写真家・林忠彦──父・林忠彦」。現在、日本写真家協会会員、林忠彦作品研究室代表。